「無線綴じ(むせんとじ)」は製本の方法(本を綴じる方法)の一種で、他に「中綴じ」や「アジロ綴じ」などがあります。
製本する際に糸や針金などを使用せず接着剤で行うため「無線綴じ」と呼ばれています。
一枚ずつ切り離された本文をページ順に並べ、綴じる部分に接着剤を塗り、表紙でくるみます。
無線綴じは比較的ページ数の多い場合に向いています。
無線綴じの特性として、180度開く事はできず、綴じ(ノド)付近は、隠れたり見えにくくなります。
そのため、左右見開きで図柄などがある場合や、綴じ付近に文字や図柄などを配置した場合は注意が必要です。
表紙について
無線綴じは重ねた本文を表紙でくるむため、重ねた本文の厚さだけ表紙を大きく作成する必要があります。
この本文の厚みの部分を「背(せ)」と呼びます。
表紙部分のデータを作成する場合、「表紙」と「背」と「裏表紙」をつなげて、見開いた状態で作成します。
背幅の求め方
背の幅はページ数、用紙の種類、斤量により変わってきます。
下表より、注文予定に該当する用紙の種類と斤量の紙厚を元に、下記数式で算出できます。
【計算例: 表紙含め64ページの場合】
- 表紙:コート135kg(紙厚:0.136mm)
- 本文:コート90kg(紙厚:0.086mm)
(64ページ × 0.086mm) ÷ 2 = 約2.752mm
用紙 | 斤量(kg) | 紙厚(mm) |
---|---|---|
コート紙 | 73 | 0.069 |
90 | 0.086 | |
110 | 0.106 | |
135 | 0.136 | |
マットコート紙 | 90 | 0.108 |
110 | 0.139 | |
135 | 0.181 | |
上質紙 | 70 | 0.097 |
90 | 0.126 | |
110 | 0.149 | |
135 | 0.182 |
上記の計算式と表より算出した数値はあくまで参考の値となります。
製本した際に若干のずれが発生する可能性があるため、「表紙」、「背」、「裏表紙」と色がはっきり分かれるデザインはご注意下さい。
表紙の注意
表紙部分は背を含めた見開いた状態でオモテ面とウラ面の二つのデータを作成します。
オモテ面には「表紙(表1)」と「裏表紙(表4)」、「背」をつなげて見開いた状態で作成し、「本文」と「背」の境目にはトンボを入れます。
ウラ面も同様に「表紙のウラ側(表2)」と「裏表紙のウラ側(表3)」、「背」をつなげて見開いた状態で作成します。
ウラ面は本文と直接貼り付けるため、「背」の両側に各5mmの接着面を確保します。
切れては困る図柄等は、両端と上下は3mm以上内側へ、「背」の両端は接着面からさらに3mm以上内側(「背」から8mm)へ配置する必要があります。
※表紙のウラ面が白である事を指示していただければ、ウラ面のデータを作成する必要はありません。
本文の注意
本文の「最初のページ」と「最後のページ」は、表紙と直接貼り付けるため、接着面を5mm程度確保する必要があります。
その他の本文は、ページにより左右どちら側に綴じる部分がくるか、綴じ部分の読みやすさ、切れてはいけない範囲などを考えて作成する必要があります。
弊社では、綴じ部分の読みやすさやバランス、作りやすさを考慮して、周囲10~12mm以上内側への配置をおすすめします。
実際に本文のデータを作成する場合は、「単ページ」か「見開きページ」のどちらでもかまいません。
それぞれが何ページか分かるようにファイル名や、データ等でご指示ください。
インデックス(ツメや柱など)の注意
冊子物のデザインなどで良くあるインデックス(爪や柱など)を使用した場合、製本作業工程で若干のずれが生じるため、完全に一定の高さには揃いませんのでご了承ください。